2026/09/24
なぜこの1粒の薬を飲むのか
患者さんとお話していると、「できれば薬は飲みたくない」と思っておられる方は少なくないと感じます。
副作用があるかもしれないものを、自分の体の中に入れるのですから、そう思うのは当然のことだと思います。
だからこそ、私は、薬剤師として、「なぜ、この一粒を飲むのか」を知っていただくことが、
とても大切だと思っています。
例えば、50代以降の女性のLDLコレステロールを下げる薬。
女性は更年期を迎える頃から、女性ホルモン(エストロゲン)の変化などによって
LDLコレステロールの値が上がりやすくなります。
女性ホルモンというと、生理や更年期など、少し厄介なもののように感じることもありますが、
実は女性の体を守るとても大切な役割をしてくれています。
ただ女性ホルモンが十分に分泌されるのは約35〜40年間だけ、更年期以降には、LDLコレステロールだけでなく、
血圧や骨など、女性の体にはさまざまな変化が現れてきます。
一方で、女性の人生は長くなりました。
70歳時点の女性の平均余命は約20年、およそ90歳まで生きる計算になります。
50代から先、女性ホルモンが守ってくれなくなってから、まだ何十年という時間があるのです。
だから、今、LDLコレステロールを適切に管理することは、単に健康診断の数字を下げるためだけではありません。
「この一粒が、これから先、血管を守ることにつながっている
動脈硬化による将来の脳梗塞や心筋梗塞などのリスクを減らし、
できるだけ長く元気に、自分らしく暮らしていくために、今、この薬を飲んでいる」
患者さんに、そんなお話をすると
「なるほど、そういうことなんですね」と、患者さんの表情が変わることがあります。
『このお薬を本当に飲まないといけないのか?』から
『これからの自分のために、大切な意味があってこの一粒を飲んでいる』
そう理解して服用していただくことは、薬剤師としてとても大切な仕事だと思っています。
さらに
きちんと効果が出ているのか。
副作用は出ていないか。
生活習慣を変えることで、薬を減らせる可能性はないか。
サプリで代用はできないのか?
お忙しい先生には聞きにくくても、薬剤師なら、と本音をお話くださる方もおられます。
薬はあくまでも、その人がよりよく生きるための手段の一つです。
仕事を続ける。
家族との時間を楽しむ。
できるだけ長く自分の足で歩く。
その人が大切にしていることを、大切にしながら生きていく。
『自分のこれからのために、意味があってこの一粒を飲んでいる』
次回は、私が考える「かかりつけ薬局」について書いてみたいと思います。
オカノ薬局 代表取締役 山中祐子







